ラウンジセミナー 正藍染の守り人‐千葉家に受け継がれる伝承の技‐/上映会「藍に生きる」を開催しました
2025年8月26日(火)10:30~12:00で、現在アートスペースで開催している栗駒・千葉家伝承「正藍冷染」展に関連し、ラウンジセミナーを開催しております。セミナータイトルは、正藍染の守り人‐千葉家に受け継がれる伝承の技‐/上映会「藍に生きる」とし、フリーランスライター鈴木望美氏に講師いただきました。
宮城県栗原市に伝わる日本最古の染色技法「正藍染」。千葉家の藍づくりには、衣が「暮らし」と「土地」と共にあった時代の美しさが今も息づいています。藍作りは、まさに一年を通して丁寧な作業を重ねて準備が整います。人工的な熱を加えず自然発酵による藍建てで染められる千葉家の正藍冷染は、1年の中で染められる時期が6月と7月の約2ヶ月間に限られるそうです。自然と共に、たくさんの手間と愛情を注いで作られている藍の手仕事に感銘を受けました。

千葉家は、日本最古の藍染の技法を代々受け継がれ、初代 千葉 あやの氏(1889~1980)は1955年に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されています。2代目よしの氏(1909~2009)が技術を引き継がれ、2009年によしの氏が亡くなると、まつ江氏(1930~2023)が3代目として継承されています。よしの氏とまつ江氏は宮城県指定無形文化財「正藍染」技術保持者でいらっしゃいますが、三代目まつ江氏は後継者育成にも力を注がれ、その技を長男の正一氏へと引き継がれています。現在、4代目正一氏が伝統の正藍染の技を高め、厳格に守り継いで行こうとするお姿には、強い使命感と覚悟が伝わります。
毎夏仕上がる藍作品を楽しみに、今回の展示にもたくさんのお客様がいらっしゃっています。昨年のセミナーは、美術史家 濱田 淑子氏に講師いただきましたが、濱田氏より「この千葉家継承の正藍冷染の素晴らしさを伝える役目も若い方へ繋げていきたい」とバトンタッチを受け、今年は秋田公立美術大学大学院修了・東北の染織や地域文化を研究されている鈴木望美氏に講師いただきました。暮らしの中の衣服と染織、そこにある地域や人の営みを研究されている鈴木氏は、ご自身の研究を深めるために昨年から足繁く正一氏の元に通い、正藍冷染について一つ一つの工程を間近で見て学ばれたそうです。間近で見聞きして学ばれたからこそ、熱意が伝わるとても分かりやすい説明で、皆さん熱心に聞かれていました。
軽食には、弊社飲食事業部 一乃庵.「和食膳」を召し上がっていただきました。軽食後には、改めて作品展をご覧になり、ハンカチや手ぬぐい、ショールをはじめ、地元作家コラボで作成されたキーホールダーやブローチ等の小物作品を購入されるお客様も目立ちました。その他、今回の展示では
宮城県白石市で作られる手漉き和紙で有名な「白石和紙」とコラボされ、様々な藍色に染められた白石和紙も展示しています。一枚一枚光にかざし、お気に入りの和紙を求めるお客様の姿が印象的でした。
宮城県白石市で作られる手漉き和紙で有名な「白石和紙」とコラボされ、様々な藍色に染められた白石和紙も展示しています。一枚一枚光にかざし、お気に入りの和紙を求めるお客様の姿が印象的でした。

展示は8月31日(日)まで行っています。ぜひ一番町をお越しの際は、お立ち寄りください。
2025年08月28日